『なんとなくわかる』(8月1日)
「稽古、ロケ。夜は友のドラゴンの家に行きweb会議。という名の飲み会。語らい。帰りのオートバイの車で
(オートバイというのは芸名です)、サニーデイサービスが掛かり熱唱。サニーデイサービスはほとんど歌える。
なんだか通販でやっている1970年BOXセットとかを買う人の気持ちがわかりました」

『シンクロニシティ』(8月2日)
「昨日芸人のみんなでなぜか朝丘雪路さんの話になった。たしかボインの流れだったと思う。
インジョンさんは11PM世代だなどと盛り上がった。そして今日歩いていたら本物の朝丘雪路さんを見た。
撮影をしていた。すごい偶然。これをたぶんシンクロニシティと呼ぶんだと思う。あと今日部屋にいたら
ジージーと音が聞こえたので『あ、携帯が鳴ってる』と思ったらセミの鳴き声だった。これはたぶん
シンクロニシティではないと思う。勘違いだ」

『腸捻転』(8月4日)
「東京腸捻転ライブが終わり帰宅。硬派なライブで背筋が伸びる。これからも意味不明なコントをやりたいです」

『本の土地柄』(8月5日)
「原稿に詰まったので外に出た。なぜか赤坂の本屋へ行く。赤坂はビジネスとマスコミと料理の本が
わかりやすく入り口に置いてあった。きっとそういう町なんだろう。本屋さんはその町を使う人々が
どんなことに興味を持っているのかに敏感なので、必然的に品揃えが町ごと変わってくる。よく見ると楽しい。
私は岡部幸雄・元騎手が書いた本を買い、タリーズコーヒーでブラッド・オレンジジュースを飲みながら
本を読んだ。くっ気取りやがって、と思ったけれど雷がすごくてそれどころではなくなり店を出た。
雷に勝ってこその気取りだ。本物のおしゃれは暑くてもジャケットを着るんだ。たぶんそうだ」

『前世』(8月6日)
「華々しい現代機器に囲まれながらも、死んだ文豪や老人や中年の本ばかり読んでいる。
わたしの前世はきっとおじいさんだったに違いない。いや、おばあさんかもしれない。でも鏡で自分の顔を
見てみると、前世は虫だった気もする。それも名もない虫。そう考えると大出世だ」

『FM-FUJI』(8月9日)
「今日、FM-FUJIの記念番組に行ったら長嶋くんがダブルブッキングで出られないという。マネージャーさんも
顔を青くして謝ってきた。参ったなぁと思ったけれど、これは一人でやるしかないと気合を入れて喋る。が、
なぜか途中長嶋くんから中継が入り、なぜか私の家の前にいた。ドッキリというやつだった。やられた。
なぜか風藤松原の風ちゃんも中継に参加していた。家までは入られなかったけれど、そこらじゅうの人に
『吉川を知っているか?』とインタビューをしていた。夏の暑い時に出る汗ではない汗が出た。FM-FUJIさん
20周年おめでとうございます。やることがいつもメチャクチャですが、すべて愛情と捉えます」

『サマソニの夏』(8月11日)
「キングオブコント、サマソニと連日午前中からネタをやる。今年のサマソニは涼しくてよかった。
お祭りなので漫才をやった。普段のスタイル以外でやるのも新鮮で楽しい。ビールを飲みながら見た
ポリシックスのピコピコ感が帰りの京葉線でも鳴っていた。昨年はシンディ・ローパーのシャウト。
明日もライブ。お盆も北京もひっくるめて、明日もライブ。誰かが帰りの電車でぷっと笑うようなコントを
やりたいです」

『早起きしろということか』(8月12日)
「朝9時から近隣の工事、ならびに下階の内装工事が始まる。ダダダドドドと掛けてもいない
目覚ましが掛かり、おかげさまで朝型人間になりつつある。問題なのはその目覚ましは叩けば止まる
わけではなく、夕方5時まで続くこと。若干ですが参ってます」

『けいこ』(8月13日)
「今日も早く起きる。最近工事がうるさくて早起きになってしまったのだけれど、今日は音がしない。
たぶんお盆休みだ。お盆休みはいい。全体的に静かで、まったりとしている。周りを見て忙しそうなのは
セミくらいだ。私は今から合同ライブのけいこ。激しい稽古もひらがなで書けば少しはまろみがでる。
おぼんやすみはもじをどんどんひらがなにしていきたいかんじです」

『BEIJING』(8月15日)
「オリンピックを見ていてずっと気になっていたのですが、北京って英語だと『BEIJING』と書くのですね。
ペキン・ペキンと言ってますが、これだと『ベイジング』みたいです。ベイジング・オリンピック。もはや別物です」

『牛と相撲と雨と汗』(8月16日)
「テレ朝でネタ見せのあと、六本木から渋谷まで歩く。大通りは通らぬよう細い道をいく。途中『牛坂』という
坂を登る。坂の名の由来は、荷をひく牛がこの坂を上ろうとさしかかった際に、急勾配に苦しみ喘いで鳴いた
ことからつけられたらしい。たしかにモーと言いたくなる急坂。登りきったころにはお腹が空いていたが、
雨が降りそうだったので急ぐ。が、歩いている途中に『渋谷郷土博物館・文学館』という興味深い博物館を
見つけたので入る。雨にも負けない好奇心にはきっと従ったほうがいい。小一時間見て出たら小降りの雨に
なっていた。牛坂を登ったからか、どうしても牛肉が食べたかったので、らんぷ亭で牛丼を食べる。少しだけ
牛に罪悪感を感じたが、汗と雨で濡れていた腕を拭いているうちに忘れる。雨には濡れたけどいい一日。
あと氷川神社の近くに土俵があったのでひとり相撲でも取ろうかと思ったが入れなかった。散歩は後悔を流し、
固定観念をはがしてくれる。とても楽しい。ただ六本木→渋谷間はなめてると案外遠いです」

『泣』(8月17日)
「4年ごとに涙腺が弱くなってます」

『野方区民ホール』(8月19日)
「夏祭り的ライブが終わった。反省もあるけれど、収穫もあった。野方区民ホールははじめて行ったけれど
いいホールでした。打ち上げで土田さん、スギさんらと朝まで飲む。朝はまだ涼しい。大都会の朝特有の
異臭もする。見上げると青空。異臭。タクシー。そろそろ秋。せつないのと眠いのとで混沌の朝。これから
眠ります。ライブを見に来てくれたみなさま、ありがとうございました」

『二日酔い』(8月20日)
「元気なときは町がうるさく感じない。さらーっと歩ける。今日は二日酔いだったので町がうるさかった。
ぬべーっと歩いた。でも最近夜が涼しいので気持ちがいい。でも秋の予感的さびしさもあり、うれしいような
せつないようなオエップなような、とにかくごちゃ混ぜの8月後半の入り口です」

『ピョーとかヒューとか』(8月21日)
「難しいことを考えているときは音程になってない口笛を吹くと多少問題が簡単になります」

『オッケー』(8月22日)
「思春期に村上春樹が直撃したので、しばらく『了解』のことを『オーケー』と言ってきましたが、
最近徐々に『オッケー』になりつつあります。小さな『ッ』が入るだけで、女の子が跳ね上がっていて
元気な感じが出ます。チアリーディングみたいな。『OK!』でもいいですが、どこどなく大橋巨泉みたいな
感じがするのでオッケーにしておきますよ。オッケー」

『笑顔の蕎麦屋』(8月24日)
「先日、ひとりで蕎麦屋に入った。蕎麦が来るまでカバンに入れておいた本でも読もう…と思ったら
本がなかった。カバンに穴が開くくらい探したものの、家に忘れてきたらしい。あーあ、本がないととたんに
暇だ。活字渇望症である。しばらく周りを見渡す。することがない。仕方がないのでカバンに入っていた
東京メトロの路線図を眺めた。けっこういける。駅間の分数や、乗り換えなどエキサイティングである。
すると『お待ちどうさま』とおばさんがもりそばを運んできた。メトロ男に少し微笑みながら。気があるのかしら。
今度は食べながらネタの台本を読んだ。ぷすぷすと笑いながら。蕎麦が口の端からこぼれてくる。
このネタしばらくやってないから次のライブでやろうとニヤニヤしていたら、今度は蕎麦湯が運ばれてきた。
おばさんはやはりニッコリとした顔だった。何の笑顔だったんだろう。本当はもっとアゴに手を置いて首を
ひねったり『むむむ』とかやりたいのに。おばさん見ておいてね。次は文庫本を読んでカレーうどんを食べながら
鋭い考察をするからね。カレーが跳ねて文庫本についちゃうハプニングがあったらまた笑顔でね」

『とっくに知っていた』(8月25日)
「終日書き物をしていた。一歩も外に出ず。一歩くらいは出たかったが、雨が降っていたのでやめる。
結論としては雨は足を鈍らせるということ。それは小学校の頃に知っていたことではなかったか?」

『メールチェック』(8月26日)
「起きて携帯のメールチェックをする。いつもの日課だ。たくさんのメールがきている。どれどれ、と見ると
ほとんどが迷惑メール。なんだその単語は。なんだその34歳のあけみって誰だ。と文句を垂れつつ携帯を閉じる。
だいたい起きると5通は来ている。なのに今日は1通もなかった。来てなかったら来てないで、逆にさびしい」

『秋?』(8月28日)
「涼しい。暑いのはいやだけど、もう夏終わり?と多少は思う」

『異常気象』(8月29日)
「変な天気が続く。次に春が来たりしないか心配です」

『ヨーキン』(8月30日)
「YO-KINGさんをやたら聴いている。昔から好きだったけどやっぱり大好きなようだ。
『日々とポップス』に入っている『遠い匂い』。これを聴きながら歩くと歩幅が大きくなる。
今日は仕事終わりにゲリラ豪雨というやつを喰らいびっちょびちょに。ズボンを脱水するほど濡れた。
でもあまりに濡れすぎてもうなんでもいいやという感じは下手な解放よりもいいなと思いました」

『傘が増えていく』(8月31日)
「ここ1週間で3本ほど傘が増えた。急な雨で買ったり貰ったりで玄関がうっとうしい。傘だらけの玄関を見ながら
『晴れていても傘を持って出かける』か、『ずぶ濡れになるか』の二択を迫られている気がしていたけれど、まて。
折り畳み傘という選択があるじゃないかと思い直し、2択は危ないなと思った八月の終わりです」

2008