『土田さん』(8月3日)
「大先輩・土田さんの家にお邪魔して家飲み会。すごく空気がおいしくて山の上にいるようだった。
空気清浄器が欲しくなった。家電の取り揃えが凄まじかった。男八人、家飲み。みんなで心霊映像を見てはしゃぐ。
ワイワイワイワイ。帰りの電車の中でふと『あの土田さんの家にいたんだ』と思う。ぽわーんとした一日。
土田さんは外見が怖いので、少しでも優しくされると泣きそうになります」

『ジャーマン』(8月4日)
「仕事と仕事の合間に1時間エアポケットが出来たのでドトールに行った。こんな狭い所に?なドトール。
ぽけーっとしているとおばあさんが入ってきて『あの赤ジャーマンってやつ?食べてみちゃおうかしら』と機嫌良く
店員さんに話しかけていた。『辛いですよ』と店員さんが言うと、『あら、じゃあ普通のでいいわ。ジャーマン』とおばあさん。
『ジャーマンドックですね』、『それそれ。ジャーマン』。私は勝手にジャーマン・スープレックスを掛けられるおばあさんを想像してしまった。おばあさんがプロレス用語を使っていると、場がとたんに異化します。両手を広げて美しい受け身をとるおばあさん。カウント2・9」

『抽象と現実』(8月6日)
「覚えておきたいことは携帯にメモをする。ほとんどが抽象的な言葉の数々。具現化しないことばかり。
そんな中、メモの中にある切れたインクの型番だけは確実に形になる。MP500、BCI-7eMマゼンタ。ビックカメラで
790円でした。現実ってすげぇや!」

『工事の朝』(8月7日)
「最近マンションのリニューアル工事をしていて、朝の9時から爆裂的な音がする。豆腐屋の朝は早い。
でも芸人の朝は遅い。非常にかっこ悪いが、明け方に寝る習慣がついてしまっているので9時はまだ
寝ていることが多いのです。ガガガガガと突き上げるような工事の音で不機嫌な朝。朦朧としながら
起きて本を読むものの、どっちにしろうるさくて読めない。ギターを弾いて対抗してみても得が一つもない。
外に出る。暑い。私の望みは工事がすぐに終わること。こうなったら裸で工事を応援するしかないのだろう」

『まるで』(8月8日)
「強い引き潮に流されて岸を遠ざかっていくボートのように、1Q84を読んでいる。一時中断していたのだが再開し、
ここに来てリッチー・ブラックモアのギターの早弾きのように速度が上がっている。明日はサマーソニック。見る方ではなく出る方。地味に6年連続で出させていただいている。ここまで来たら鬼のように楽しみたい。比喩の精度が下がっているのはいま電源を切られたパソコンのように眠いからです」

『サマソニ』(8月10日)
「夏の風物詩、サマソニ。ありがたいことに6年連続で出させていただいている。サマソニだけは漫才。サマソニ漫才。
これがとても楽しい。お客さんも祭りなのでとても熱く、ずいぶんと乗せてもらいました。ステージの合間、3時間くらい空き時間があり、マリンスタジアムでひとりエレカシ。宮本さんの咆哮に胸打たれる。やはりエレカシは一人で見たい。
今年のサマソニはよく食べた。まぐろ丼、ケバブ、トルコアイス。ステージが終わってビール。帰りにまたお腹が空いて
新木場でそば。小食なのにどうした。明日もライブ。お腹を壊してなければ満点の日曜日でした」

『女装』(8月11日)
「『Simple Set LIVE』という6組しか出ないライブ。ネタを長い時間やれて嬉しい。きっと10分以上やってしまった。
久々の女装。楽屋で『ブスブス』言われる。ブスは構わないがアンタらには抱かれない。こっちにもプライドがある。
出番が終わってすぐに企画だったのでビチャビチャとメイク落とし。男に戻る。でもまださっきのアタシがまだ残っていて全員が敵に見える。芸人なんてきっと遊び人なんでしょ。そんな簡単な女じゃないわよ。ブスブス言っててもふたりきりになったら甘い言葉で口説いてくるのよ。本当バカみたい、男って…。なんてうそです。メイク大変。スカートごくろうさま。ヒールもおつかれさま。女装をすると男の怠惰が身に沁みます」

『お盆』(8月16日)
「ですが仕事や稽古をしています。1Q84読み終わりました。買ったのは誰よりも早かったのに
読み終わるのは目茶苦茶遅かったです。だいぶ暑いですね。でも冬は寒いので今のうちに温まっておきましょう」

『せず』(8月17日)
「合同コントの稽古→ライブ。ジリジリと真夏。地下にある稽古場でワイワイ。夜ライブが終わって夏の夜。
ふと中野から歩いて帰ってみようかとい思うも、せず。私はどれだけ『せず』に終わったことか。したことより
しなかったことの方が断然多い。一番の後悔は合コンに1回も行かなかったこと。私の実力を試してみたかった。
実力?なんの?」

『ぶつぶつ』(8月18日)
「合同コントの稽古。終わって終電。家までの帰り道、遠回りしてセリフ覚え。ぶつぶつぶつぶつ。
真夜中のぶつぶつぶつ。ぐるぐる廻ってぶつぶつ。…怪しい。怪しいので一通り覚えて帰宅。家でもぶつぶつ。
冷やし中華を食べながらぶつぶつ。寝る前にもぶつぶつ。眠れないから起きてぶつぶつ。本番で本当に
ぶつぶつって言ってないか心配なくらいぶつぶつ」

『一番うまく書ける文字』(8月19日)
「人によって得意な字はあると思いますが、私の場合は『佐藤』です。佐藤は誰よりもうまく書ける自信があります。
至高のバランス、佐藤。お見せできないのが残念ですが、もし今度どこかで会ってサインを書く機会があったら、
『ダーリンハニー・佐藤』とサインしてもいいですか?」

『原稿書きつつ、ボルトを気にしつつ』(8月21日)
「演劇ベイベー2(太田プロの芸人で演劇をやったのです)、無事終了。通訳のおばさん役をやりましたが、
相変わらずのブス。いつかキレイになってやるんだから。打ち上げに行って終電で帰宅。今日は昼に取材&夜はライブ。
帰って今日締め切りの原稿をカキカキ。現在深夜3時。いったいボルトはいつ走るんでしょうか」

『明け方のプロレス』(8月25日)
「どうも眠れないです、と布団を飛び出してyoutubeなど見出したら最後。私はyoutubeを見出すと最後はなぜか
プロレスに行きつくので血がたぎるたぎる。燃える燃える。闘魂闘魂。朝朝朝。7時7時7時。眠りとは興奮を冷ますこと。
朝の7時にその真逆。最終的には『蒸気でアイマスク』を目に当てながら、ホットミルクを飲んでなんとか。バカヤロー!!」

『終夏へ』(8月26日)
「空気が秋。きっと夏がもうひと粘りして、やがて長袖。今年は子供の頃の夏と似ていた。
近年の熱帯雨林的なだるい夜もなく。とにかく今年の秋はやってやりますよ。えぇやってやりますとも!
(我々のコント『急太郎・不動産編』より)」

『そそりそそられ』(8月27日)
「原宿の奥の方にある本屋さんがそそられたので入った。リチャード・ブローティガンの『芝生の逆襲』と
池波正太郎の『男の作法』がそそられたので購入。人はそそられてなんぼだと思う。そそられたものを読み、
そそられたものを食べる。毎回同じでもそそられているなら構わない。これからもドシドシそそられていきたい。
女の人だと困るけれど」

『引き分け日記』(8月28日)
「10時に起きてスーツを着る。昨日ネクタイの結び方の特訓をしたので(セミ・ウインザーノット)すんなり結べた。
ネギトロ巻きを食べる。12時30分〜三田でオーディション。終了後散歩を試みるも靴が痛くて断念。あいててて。
麻布十番でもりそば。一旦帰宅。スーツを放り投げ、新宿へ。途中の山手線で大学時代の後輩に会う。ずいぶんと
大人の女性になっていて驚いた。フィンランドでパントマイムをするとのこと。なんだかすごい。16時から打ち合わせ。
18時まで。興奮しすぎの話しすぎ。その後、事務所へ。太田プロが引っ越しをするので、置いていたものを持って帰る。
19時ジュンク堂書店。一瞬いいなと思った本も、2000年前後に出ていると何故か買う気がなくなる。出来立てホヤホヤの本か、いっそ大昔の本の方がいい。 でもいい本はきっといいので、私が時代にこだわりすぎているだけだ。そのまま
新宿で回転寿司を4皿食べて帰宅。荷物が重い。夕飯は焼きそば。23時から原稿を書いて今。たまには今日あったことを
書いてみようと日々の連ねを更新。そういえば談志師匠が『日記を書くなんてのは創作力・発想力がなくなった証拠、
ネタがなくなった時の方法だから馬鹿にしていい』と書いていたのを思い出した。と前置きしつつ日記を書く談志師匠が
好きだ。とにかく今日は靴がきつくて足が痛かった。でもネクタイがうまく結べたので引き分け〜」

『月の里温泉駅』(8月29日)
「昨日夢に『月の里温泉駅』が出てきた。もう3回目だ。日本中探してもそんな駅はない。あくまで夢の中だけで
登場する架空の駅だ。私はもう慣れているので駅の構造や、出てすぐにある観光案内所のお姉さんの顔まで
覚えている。月の里温泉はまさに月の名所で、露天風呂に入りながら大きな月が見える。駅から温泉までは歩いて
15分くらい掛かる。駅舎は古く、灰色のコンクリート造りなのに形は竜宮城みたいな変な駅舎だ。案内所のお姉さんは
顔が白く、頬骨が出ていて眼鏡をはずした時の私みたいな顔をしている。また来たのか、みたいな顔で出迎えてくれる。
いつものように旅館に向かおうとすると、工事の爆音で夢から覚めてしまった。ドドドドドド。私の住まいは今工事の
真っ最中なのだ。起きても気持ちは月の里温泉。バカでかい月とプラットホーム。せめてお湯に浸かりたかった。
でもどうせまた見るだろうからいいや」

『I am visitor』(8月30日)
「浅草でライブ。終わって仲見世通りを歩いていたら外人さん二人に声を掛けられた。『Can you speak English?』
無理無理、英語はできない。『Sorry,I can speak only Japanese』とたどたどしく言うと、『それ英語で日本語しか
できないってちゃんと話せてるぜ!』みたいなリアクション。無理無理。それなのにガンガン英語でしゃべってきて、
『Where is the BON ODORI?』ときた。BON ODORI?盆踊り?今日やっているの?全然わからない。地元じゃないからよく知りませんって英語だと何と言うんだろう。とっさに『I am visitor』(私は訪問者です)と言ったら、?な感じでもニュアンスをくみ取ってくれて解放してくれた。ふぅ。汗かいた。中学・高校で習った英語はどこで使えるんだろう」

『月曜日のタイフーン』(8月31日)
「台風が来た。外は寒い。選挙も終わった。明日から9月だ。チェンジチェンジ言っている。
電撃戦隊チェンジマンを思い出す。黒が好きだった。レッドはいつも好きじゃなかった。はたして日本は
チェンジマンになれるだろうか。恐怖のエイリアン集団・大星団ゴズマを倒せるだろうか。私はひとまず
冷え性対策に取り組んでいきたい所存です」

2009