吉川→ドラゴン 第七信(往)春樹の呪縛
 

 やぁやぁドラゴン。webではお久しぶり。つい5日くらい前に会ったから全然久しぶりじゃないんだけど、このwww.なんとか.jpの世界で会うのは6月以来ですな。もう12月だもんねぇ。月日が経つのはやっぱり早いや。

池袋の街 ドラゴンが引越しをして、もう2ヶ月くらい経つかしら。池袋。ぼくは池袋ってほとんど行ったことがなかったけどすごく便利な街だね。いろんなものがぎゅっと固まっていて、本当に便利。この前勝手に「ないもの」を探してみたんだけど、なんでもあるや。本屋、回転すし、ファーストフード、居酒屋はもちろん、アンプもミニピンプラグも芸術劇場もなんでもある。でも人のぬくもりがない、なんて言ったらかっこいいんだろうけど、あるねあそこは。最近の日曜日、昼の11時くらいに池袋を歩いてみた。そしたら「よさこい祭り」というのが催されていて、バンドの演奏とか物産展とかやっていて、穏やかで豊かでいい感じだったよ。池袋というとウエストゲートパークみたいな不良殺伐感があると思ったけど、そうでもないね。まぁ夜の深い時間は欲望渦巻く都会の闇エキスが出てるのかもしれないけど、どうですか?池袋に定住してみて。

寝る 最近ドラゴンの家に遊びに行ったときはぼくは寝てしまったね。それも4時間たっぷりと。ぼくはなぜだか人の家だとよく眠れるんだ。自分の家だとあまり寝れない。ぼくの部屋にはもう怨念とか「しみ」とか安定感とか、まぁとにかくいろいろなものが渦巻いていてあまり眠れないんだ。猫とか本とか昔の彼女の写真とか、モノもいっぱいあるし未練たらしいのぼくの部屋。だから何もぼくの息のかかったものがないところへ行くと変な話だけど逆に落ち着くんです。昔スミ(同級生)の茅ヶ崎の家に行ったら14時間くらい寝たことがあって、さすがにおかしいなと思った。朝寝たら深夜なんだ。あれは参った。でもドラゴンの新しい家もたぶんぼくの餌食になると思うよ!今度引っ越し祝いにラッセンの絵を持っていくので、それで許してください。どーんと飾ってね。

 ぼくは最近「男友達作り」がしたいなと思っています。男友達。ドラゴンにもいると思うけど、ぼくはあんまりいないのよ。女友達もいないけど。でもあの同性のくっだらない空間というのはすごく「ぐっ」と来るときがあって、それを求めて日々酒場に繰り出しています。芸人もいいんだけど、ぼくらは飲んだりするとすぐに芸の話やうんこの話をするので、出来れば異業種がいいなぁと。最近も出会いを求めてひとりで神保町へ行きました。行きつけのタンゴがかかっている喫茶店があるんだけど、そこに行けば「俺に似ているやつがいるだろう」と思って行ったらば、本当に見た目がそっくりの人がいて困ったよ。髪が多くてメガネでやせぎすで本を読んでるんだ。顔も薄いの。もし話しかけた瞬間にもう一人激似の人がカランコロンって入ってきたら「似た人3人伝説」で死んじゃうなと思って、そそくさと退店しました。そういうことではなかった。別に価値観とかも全然違うものでよくて、ただひたすらにぐっとくる「男友達」が欲しいみたい。凝り固まっている気がしてね。打破するには男だ!っていう根拠のないひらめきがありまして。今度ドラゴンの友達を紹介してください。でもドラゴンの友達は奇天烈な人が多そうだなぁ。そうでもないかい?

名刺交換 あとは人との関わりを持つ最初の手段として、やっぱり「名刺」はいるのかなぁと思ったりしています。名刺問題。これ根深くて半年くらい悩んでいるんだ。ぼくはもともと「名刺を配って生きていくなんてまっぴらだ!俺の顔が名刺になるのが理想だ!」なんてイキがっていたので、ここにきての名刺問題に頭を抱えています。でも名刺ってもらうと便利なんだよね。相棒の長嶋はとっくに名刺を持っていて(その便利さも知っていて) 、交友関係を広めている。そういうところで悩まないの、あの人は。広報部長と呼んでいるんだけど、その積極性は万歳ものなんだよね。結局ここは人と人の世界だもんね。多ければグー、少ないとダメってわけでもないと思うけど、やはり楽しい人にはたくさん会いたい。その手段としての名刺。考えすぎなんだろうなぁ。ドラゴンはたしか名刺を持っていたはずだけど、あまり名刺自体に納得してなかったような。でもwebデザイナーという仕事上、どうしてもいるもんね。ぼくはなければないで済むんだ。「どうしても必要」ってわけでもないから余計に考えるんだね。コミュニケーションとは?みたいなことまで考えちゃって、図書館まで「コミュニケーション学」とか借りに行っちゃったりして、ばかばかしくなって散歩するみたいな、自分の尻尾を追いかけてグルグルしている犬みたいで、こりゃナンセンスです。すぱっと作ろう!でっかい顔入りのやつ。出来たら渡します。作ることに決めた!

 それでは、また。全然前回の返信になっていなくてごめんなさい。

寅さん そうそう、先生見つかったよ。柴又行ったときに見つけた寅さん。すごく惹かれた。夜中何十本も見ました。桃井かおりがさ、北海道で一人旅をしていて、たまたま海を眺めていた寅さんを見つけて声をかけるんだ。すると寅さんが「若い娘がな、旅の行きずりの男をそんなに気安く誘っちゃあいけないよ。もし悪い男だったらどうするんだ。そうだろ?」なーんて言うんだよね。かっこいい。でも結局好きになってふられるの。あの人いつも服が一緒でさぁ。矢沢永吉の白いマイクとか、談志師匠の頭に付けているバンドとか、一貫したスタイルがある人ってかっこいいと思う。どうもそういう人が先生の候補にいつも上がるということはわかってきました。

 じゃあ!また遊びに行くよ。ラッセーン!

 PS.前回のドラゴンの手紙、ウサギとカメの話。ぼくの中で優勝しました。でもうまく返すことができない。素晴らしい文章だった。

ダーリンハニー 吉川正洋