昨年はさいたまに鉄道博物館(通称:てっぱく)がオープンしました。 私も行きましたが、5泊6日したいくらい中身の濃い博物館でした。数々の展示車両や歴史の歩みなどを眺めていると、鉄道の壮大さや繊細さが伝わってきて、改めて鉄道の「とてつもなさ」にやられた次第です。 あさかぜに敬礼 しかしやってみたかったSLシミュレーターやミニ運転列車などのアトラクションはほとんどが90分待ち。すさまじい人気です。早めに行って予約を取らない とすぐに日が暮れてしまいます。その日はあきらめ、また後日やりに行くことにしました。でも落ち着くまではまだまだ時間が掛かるでしょうし、別に落ち着か ないでもいいかと思っています。てっぱくは賑わっているほうがいいではありませんか。 しかしさいたまの鉄道博物館以外にも、全国各地に鉄道系の博物館はあります。 私は小さいころよく田園都市線の高津駅(現在は宮崎台駅に移転)にあった「電車とバスの博物館」に行きました。たしか高津のころ子供は10円で入れた記憶があります。大人になった今でもたまに行きます。 いまでもたまに まだ行ったことのない博物館はありますし、いつかすべて制覇したいなと思っていますが、私が今までで行って印象的だった博物館はなんと言っても群馬県にある「碓氷峠鉄道文化むら」です。4年くらい前に「全国駅弁の旅」というロケがあり、その時の空き時間に一人こっそり行ったらば空き時間では回りきれず 悔しい思いをしました。「いつかまた来よう」と胸に誓い暮らしてきましたが、いよいよ抑えが効かなくなり行ってしまいました。 ということで今回は隠れたもう一つのてっぱく、「碓氷峠鉄道文化むら」をご案内いたします。 |
群馬県は横川駅。峠を越えれば軽井沢。 上野から来ると高崎線&信越本線を乗り継いで2時間ちょっと掛かります。 鉄道ファンの方と連想ゲームをして「横川」とお題を出せば一瞬で「アプト式!」と返ってくるであろう横川駅。なんだよアプト式って!と言うことなかれ。特に鉄道ファンではないうちの父 親に「この前横川に行ってきたんだ」と言ったらば、「あぁ、アプト式の」とあっさり返ってたではないですか。きっと年配の方にとって横川は思い出深い駅な のでしょう。なんといっても日本でも有数の峠越え区間です。しかし長野新幹線の開通により、横川-軽井沢間は97年に惜しまれつつ廃止になってしまいまし た。アプト式のことはもったいぶって後ほどじっくり記すことにします。 いまや伝説となった碓氷峠越えの拠点・横川駅。 あらためて眺めてみると、大盛況の面影がキラリと垣間みえるような味のある駅です。 あまり見なくなった湘南色と 横川駅 関東の駅百選 横川といえばなんと言っても「峠の釜めし」。 どっしりとした釜の容器。炊き込みご飯。鶏肉。しいたけ。たけのこや栗。あんず。色とりどり。 横川-軽井沢は鬼のような急斜面だったので、機関車の付け替えなどで停車時間があり、その際に峠の釜めしをみなさんこぞって買ったんだそうです。隣の軽井沢でも買えました。私も中学生のころ何度か車内で食べたことがあります。あの坂を駆け上がる電気機関車の轟音と釜めしの味は今でも忘れられません。 残念ながら峠越え区間は廃止となってしまいましたが、横川にはまだ釜めしがちゃんと売っています。釜めしが食べられるお店があったので早速入りました。 現地で食べる釜めしは本当にうまいです。 駅前にある釜めし屋さん 釜めし うまい お腹も満たされ、いよいよ「碓氷峠鉄道文化むら」へ。 駅から歩いて1分のところにあります。 冬の横川は冷えます。なのであまり人もいません。また取材で行った日は平日。言い換えれば多少の貸し切り感まで味わえます。 入場料&乗り物セット券(500円+400円)を払い久々の再開! おう、変わってないなぁ! 山のふもとにあります きたぞ 入り口を入って右側にやはり碓氷峠には欠かすことの出来ない、アプト式のレールがありました。さきほどもったいぶりましたが「アプト式」とは急勾配を上る ためにアプトさんが考えた方式で、レールの中央にノコギリ型のラックレールを敷き、機関車についている歯車を噛み合わせて上っていくというもの。下りる時 は逆にブレーキとなります。現在では大井川鉄道で見ることができますが、碓氷峠のアプト式はなんと明治26年(!)に導入されました。いかに日本が鉄道に 力を入れていたか、そしてこの碓氷峠を越えなくては長野・新潟方面に出られなかったかを物語っています。 これがアプト式 なにしろ横川-軽井沢間は66・7パーミル(1キロ進むと66・7mの高低差)という激烈な急勾配で、先頭車両と後部車両ではビル5階分相当の高低差が生 じたそうです(ちなみに箱根登山鉄道は80パーミル!こちらはスイッチバックで上ります)。要は上るのも下りるのもえらく大変な勾配なのです。 ただ原始的なアプト式ではどうしても所要時間がかかるので、それを超える技術を持った粘着式の電気機関車「EF63」が開発され、アプト式は昭和38年に役目を終えます。 その後この区間が廃止になるまで長年活躍したEF63。ものすごい馬力とブレーキシステム。電気機関車のカリスマです。しかも碓氷越え時はこのEF63が2両くっついて押していたのだからすごい話です。 そしてなんとこの「碓氷峠鉄道文化むら」では講習を受ければ実際に運転体験が出来るとのこと! あのEF63を運転できるなんて! 粘着を味わえるだなんて! かー! 電気機関車のカリスマ・EF63 園内は広く、奥には山が見えます。 かなりの吹きさらしなので、いったん建物に退避。 と、ここは碓氷峠の資料館。 いかにこの峠越えに尽力されたかが伝わってきます。 険しい山を切り開き、トンネル工事は難航を極め、工事の際には500人もの死者が出たのだそう。また開通してしばらくはトンネル内の煙が蔓延してしまうので列車が通過したらすぐにトンネルに幕を掛けたり、工夫が必要だったようです。 前に来たときも見ましたが、再び感服。 ここに鉄路あり ヘッドマークの各種 1時間ほど拝観し、次はシミュレーター・ゾーンへ。 実際の車両を切って、運転台も本物です。これはたしか前回やったなぁ。2駅で1000円。あまりに順調すぎるとすぐに終わってしまうし、でもいい運転はしたいし。そんな葛藤の中、はじまってしまった。 やっぱ楽しいなぁ! 2駅を無事運転。 入らないけどこれ家にほしいなぁ。 シミュレーター 真剣 机とかテレビを改造してなんとか運転台を作れないだろうか。 そんなことを考えながら、いよいよ奥にある展示車両ゾーンへ。 広い芝生の上に20両以上の保存車両がどでーんといらっしゃいます。 特に機関車系の車両が多い!機関車を俗に「カマ」といいますが、カマ好きの方はきっとたまらないと思います。 とにかく広い! そして勇壮! おもわずダンス デゴイチさんと キハ20さんと お座敷さんと 平日だと中に入れる車両は限られているようですが、それでも大満足。 寒さも忘れて大冒険。 さらに展示車両の横には「あぷとくん」という園内を1周できる小さな蒸気機関車の駅があります。入場するときにゲートの上をモクモクと煙を出しながら走っていた機関車です。入場時に乗り物チケットを一緒に買っておいたので早速乗り込みます。 汽笛を鳴らして出発! あぷとくん かわいいボデー 園内を一周 ミニSLも乗りました。 ミニSL たまらないぜ だんだんと日暮れ。 そろそろ閉館のお時間。4時間近くは遊んだろうか。 冬の群馬県は相当寒いですが、「碓氷峠鉄道文化むら」の熱さは変わらず。やはりいい味の出ている博物館に変わりはありません。 …帰りたくないなぁ。 未練がましい 未練がましい |
てっぱくも素晴らしい。 しかし全国には「碓氷峠鉄道文化むら」のように充実した博物館があります。 行くたびに鉄道の「とてつもなさ」に胸を打たれ帰ってきます。 それにしてもEF63が実際に運転できるだなんて! 講習を受けにまた横川に行かなくては! 中学時代、家族旅行で軽井沢に行き、 一人あさまに乗るために釜めし片手に帰京する筆者 |
碓氷峠鉄道文化むら 〒379-0301 群馬県安中市松井田町横川407-16 TEL:027-380-4163(代) 開園時間:11/1〜2/末日 9:00〜16:30 開園時間:3/1〜10/31 9:00〜17:00 休園日:毎週火曜日(8月を除く)、年末年始 休園日:火曜日が祝日の場合は開園し、 休園日:翌水曜日が休園日になります。 詳細は公式ホームページをご覧下さいませ。 http://www.usuitouge.com/bunkamura/ |
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