今年もこの季節がやってきました。卒業式?春一番? いえいえ、もちろんダイヤ改正です。 3月15日はJR春のダイヤ改正の日。鉄道各社によってダイヤ改正の日は若干異なり、また春以外にもダイヤ改正は行われますが、文字通り大々的に「改正」されるのはやはり春。ダイヤが改められ、新車が登場し、整備が整い、鉄道がますます便利になる記念日です。しかしその裏で路線の廃止や、車両の引退などお別れの季節でもあります。ウキウキと同時にたまらなくせつない季節です。 昨年のこの時期は、今ではすでに廃止されてしまった鹿島鉄道に乗りに行きました。 まるで生前葬をしているような雰囲気の中、写真を撮ったり車両の揺れを味わったり、風景を焼き付けたりして、静かにお別れをしてきた昨年の春。 今はなき鹿島鉄道 路線で言えば今年は兵庫県の三木鉄道が3月31日に廃止されます。また車両の引退、一部の寝台列車の廃止など惜しまれるニュースもございます。 特に今年は中央線でかなり大きな引退があり、国鉄色の特急、183系&189系、そして中央線の代名詞、オレンジ色の201系が引退します。 新車が次々と投入され、昔の車両とはさよならしなくてはいけません。 淋しいけれど、おつかれさま。いままでどうもありがとう。 ということで、私の鉄友(テツトモ)を誘い「中央線さよならツアー」の旅へ行ってきました。 まずは東京駅へ出発進行。 東京駅です これからをになう233系です まず乗るのは17:00東京発、中央ライナー1号高尾行き。 通勤・通学に便利な中央ライナーですが、この中央ライナーに割り振られていた183系、および189系がこの春のダイヤ改正で引退します。これからの動向はまだ不明ですが、とくに貴重なグリーン車はいつ乗れるかわからないので(廃車の可能性あり)、この系統が走っている中央ライナー1号に乗ることにしました。 ライナー券は発車の25分前に発売。運賃+500円です。 グリーン車は+200円なので合計700円。 停車駅は東京―新宿―立川―八王子―高尾です。 まずはライナー券を手に入れました。 中央ライナー券うり場 買いました しばらく東京駅で佇んでいると、16:55中央ライナー入線! 懐かしい国鉄色。シンプルな方向幕。 色も顔もどこか懐かしく、これが未だ中央線を現役で走っていることに感動すら覚えます。 よく中野のライブの終わりで偶然会ったなぁ。 中学の頃は貸切で合宿に行ったなぁ。 たくさんの旅でお世話になったなぁ。 心の中で「おつかれさま」と「ありがとう」がごっちゃになって何ともいえない気分です。 ありがとう おつかれさま この幕ともさよなら いろいろな思いを胸に秘め、東京駅を出発。 夕暮れ時を183系中央ライナーはゆっくりと走ります。 18:02高尾着なので、約1時間の旅です。 グリーン車に乗ったのはこれがはじめて。座席がとんでもなくゆったりしています。 痩せの私なら二人座れちゃうのではないかというくらいの広さ。前との間隔も余裕がありファーストクラスに乗っているかのよう。 最初で最後の中央ライナー183系グリーン車。これで+200円なら安いものです。 神田川が見え、新宿に滑り込み、中野以降の直線をひた走ります。 夕暮れ時の中央線は、オレンジ色が余計映えて見える気がします。 窓の外を見ながら、最後の「この感じ」を染み込ませ、この時期にいつも感じていたことを再び思い出します。お別れに来て、毎回毎回思うこと。 …もっと乗っておけばよかった!! このゆとり もっと乗っておけばよかった 多摩川を渡る 途中、東小金井にてオレンジ色の201系とすれ違う。 「だッ!」と喉が切れるような叫び声をあげてしまう。 今日のお別れの相手は183系と201系。今乗っている183系の方は中央ライナーでの運用が初めからわかっているので比較的乗りやすいのですが、201 系はいつ何時どこにいるのかわからないので、会えるかは運次第!車庫に予備としている編成を省くと、その日走っている201系はおそらく2編成のみ! ただ運次第で待っていると、えらい目に合うこともあります。 1年前。立川駅で、いま主力となった銀の233系を見たくて待っていたら全然来ず、寒風の中100分待ったことがあり、寒すぎて気絶しかけたことがあるの です。ほんの1年前はオレンジの201系ばかり来てうんざりしていたのに、今度はその逆。オレンジの201系を探すことになるだなんて。 とてつもない更新の早さにびっくり。 なんてことを考えていたら、18:02、あっという間に高尾到着。ありがとう、183系!グリーン車以上のグリーン車に乗れて嬉しかった! …でも正直乗り足りない。 何とか201系に挨拶をして、もう一度折り返しの183系に乗れないものでしょうか。 高尾駅近くの喫茶店に入り、作戦会議を決行しました。 また乗りたい! 作戦会議 西村京太郎ばりの推理が始まる 「201系が17:34ごろに東小金井にいたということは」 「18:10に東京に着く」 「東京発は18:12と18:16があるぞ」 「2分折り返しはあるのか?」 「可能性は十分ありえる。しかしいくらラッシュとはいえ、折り返し2分はどうだろう」 「う」 「どうした!」 「18:12発は青梅行きだ!」 「ということは立川から青梅線に入ってしまう!」 「高尾には来ない!」 「18:16発はどうだ」 「八王子行きだ」 「これも高尾には来ない!」 「どのみち戻るしかないが、東京発18:12だと立川着が19:11だからもう時間がないぞ!」 「立川に戻ろう!」 「あと、183系にもう一回乗りたいのだが…」 「ヨシカワ!贅沢を言うな!今は201系に会うのが先決だ!」 「よしわかった。立川で201系を待とう!でも何とか183系の折り返しも狙おう」 「了解。201系に会えたら考えよう!」 これを逃したらいつ会えるかわかりません。 立川へダッシュ! 間に合ったぁ 立川につきました さぁこい、201系! 私たちの思い出を乗せて。 その全面オレンジ色を輝かせながら闇を切り裂… すぐきた! 思い出に浸るまもなく立川入線!青梅行きだ! すぐきた! ありがとう この真オレンジ&ブラックフェイスともさよなら。 つい最近までバンバン走っていた201系も引退…。実際にまだ走っている姿を見ると信じられませんが、初期車のデビューから30年近く経っているわけで、よく考えれば長生きな車両とも言えます。とにかくおつかれさまでした。あともう少しがんばってくださいね! ここは立川。 折り返しの183系には乗れるだろうか。先ほど乗った中央ライナーは何時に折り返して立川に訪れるのか。全員の知恵を絞って折り返しを算出したところ、19:58の中央ライナー新宿行きがそれっぽい。また乗れるならもう一回乗りましょう。 ということで、40分ほど立川で時間が空いたので、駅構内にある本屋さんなどでひまつぶし。 中央線が好きだ 充実して本が見やすい立川の本屋さん ふたたび入線、中央ライナー。 帰りは東京行きではなく新宿行きです。 乗車時間はたったの27分ですが、最後の雄姿を目に焼き付け、その揺れさえも体に染み込ませたいと思います。 体が冷えたので駅で買ったワンカップを開け。 甘いものが食べたかったので雪苺娘を食べ。 座席を回転させみんなで思い出話。外は真っ暗。 「そんなに急がなくていいよ」とみんなで撫でながら。 ひたすら降りたくないです。 ワンカップを飲み 雪苺娘をたべてたら あっという間に着いてしまった ありがとう、183系&189系。 あなたの色味、揺れ、姿、忘れません。 またどこかで会える日を夢見て。 さようなら。 新宿駅でしばし記念撮影をし、再び喫茶店に入りました。 時刻は20:30。 熱い茶をすする 誰からともなく、「銀河いけますよ」との声が。 「あ、銀河いけるね」「銀河いこうよ」「銀河見たいよ」 「銀河銀河!」「銀河銀河!」 寝台急行「銀河」-。 東京と大阪を結んでいた寝台急行のブルートレイン。この銀河も3月14日までで廃止となってしまいます。 銀河の東京発は23:00。まだ余裕で間に合う! よし、再び東京駅へ戻ろう! 銀河に会いに いた! 22:45。東京駅10番ホーム。 すでに銀河にお別れを言う人でいっぱい。銀河は満席。 毎回この時期になると思います。 「これくらい人が乗れば廃止にならなかったのに…」 人が大勢集まり、最後を悲しむ。でもそれは結局人が乗らなかったから。 10番ホームは、「すごく盛り上がってるけど、どうも悲しい」というムード。私は写真を撮りながら、中学生の頃に乗った銀河を思い出します。家族旅行で京 都に行くために乗った銀河。23時に東京を出るというワクワク感。朝の7時前には京都に着くフライング感。でも新幹線の最終より出発が遅く、新幹線の始発 が到着する前に関西に着くという離れ業を見せてくれたアナタ。とてもカッコよかった。「銀河」というネーミングにもときめいた。楽しすぎてほとんど眠れ なったけれど、それもまたよかった。 さようなら、銀河。ありがとう、銀河。 すごい人だかり ありがとう おつかれさま ホームの人々はそれぞれの青い思い出に浸っているようです。 乗る人もたくさんいれば、見送る人もたくさん。 10日前でこのフィーバーですから、最終日はどうなっちゃうんでしょう。 逆に「この幸せもの!」と言いたくなるくらいの有終の美です。 |
23:00。のそーっと銀河は大阪へ向けて出発しました。
さよならの季節。でもいろいろな始まりもあります。 新車が続々と登場し、新たな路線の開通もあります。引退車両のバトンを引き継いで、颯爽と駆け抜けていく新車両たち。ダイヤ改正はエンディングテーマと新たな号砲を同時に鳴らす日なのです。 引退するみなさま、おつかれさまでした! 寂しいけれど、ありがとう! また逢う日まで! |
Copyright 2010 So-net Entertainment Corporation