東京の地下鉄はとても便利だが、中には乗り換えにすごく時間が掛かる駅がある。『○○線まで500m』などの表示を見て、がっくりした方も多いはずだ。地下鉄はターミナル駅をクロスする場合が多く、そうなるとどんどんと地下が深くなっていく。乗り換えも遠ざかる。また地下にはライフラインが通っているし、地盤や形状の問題もあるし、地下鉄は道路の下を工事することが多いので、駅間がどうしても遠くなってしまうこともある。 たくさんの事情で、やむなく乗り換えが遠のいてしまった駅。 うー。歩いたら10分以上も掛かっちまった。 そんな遠い乗り換え駅を、逆に散歩したいと思った。 どのみち歩くのならば、『地下を散歩する』と捉えれば世界は広がるのではないか。私は散歩を愛好している。相棒の長嶋くんからは常々『おじいちゃん』と呼ばれている。 乗り換えが遠いところってどの駅だったけな?と考えながら、まずは永田町駅に向かった。 どことどこが遠かったっけな |
【永田町→赤坂見附】 有楽町線の永田町駅。 ここから銀座線&丸の内線が走っている赤坂見附までの乗り換えは遠くて有名である。 よし、有楽町線のホームの端から散歩を始めよう。 ホーム端の案内板には銀座線&丸の内線までは655mと記されていた。 一本目から歩き甲斐がある。 200m走を3本やってもお釣りが来るではないか。 永田町駅をスタート ま、歩きましょ 散歩なのでいろいろとまわりをウォッチングしながら歩く。『乗り換え』と聞くとどこか機械的に歩くだけのような気がするが、散歩となるとフラチャカ歩けて楽しい。 しばらく歩くと生ジュースが売っていた。 生ジュースはうまい。うまいに決まっている飲み物だ。 でもどこか贅沢な気がしていつも手が出ない。まだスタートして間もないので休憩は挟まなくていいだろう。でもとても美味しそうだった。特にストロベリーが。 美味しそうな生ジュース 生ジュース屋さんを過ぎると、やがて半蔵門線へと下るエスカレーターに出くわした。 私はここを何回も上ったり下りたりしたことがある。なんとも迫力のあるエスカレーターだ。きっとこのエスカレーターは東京メトロの中でも三本の指に入る長さであろう。 実はこの長いエスカレーターの隣には階段がある。一回でいいからこの階段を使ってみたいと思っていた。いつもは急いでいたので、エスカレーターのお世話になっていた。今回は地下散歩なので、ゆっくりと階段を下りてみよう。 長い長い階段 ひとり階段を行く 顔だけ 下るのはけっこう楽だったが、上るのは大変だと思う。でもよく見ると階段を上っている人がチラホラいる。この階段を『地下鉄ジム』と捉えている方々であろう。運動になって体にいいはずだ。私は勝手に野球のキャンプレポートで出てくる地獄の階段を思い出していた。それくらい段数のあるタフな階段だ。『永田町キャンプ』。迷惑なのでやってはいけない。 階段を下り半蔵門線のホームに出た。 実はこの半蔵門線の開通が、結果的に有楽町線と銀座線&丸の内線を『つなげてしまった』のでこれだけ乗り換えが遠い駅になってしまった。もともとは繋がっていなかったのに、橋渡しの役をしてしまったのだ。 橋渡しの半蔵門線ホーム しかし半蔵門線ホームはただの中継地点ではなく、ひっきりなしに人が歩いていく。やはりこの橋渡しは利用者にとってはたいへんありがたいのだ。 半蔵門線ホームを歩くと、またエスカレーターがある。 すごいアップダウンだ。 男は階段 あと160m このアップダウンは永田町ならではである。 きっといろいろ重要な施設があるのだろう。地下を歩いているといろいろな幻想が膨らむ。『ここは一体どういう構造なんだ?』『もしかしてシェルターか?』など都市伝説のようなことまで。 地下はいろいろなものが見えないぶん、妄想を膨らましてくれる。 これが乗り換え地下散歩の醍醐味といえよう。 スケスケ丸の内線 着きました 表示をちゃんと見たら有楽町線よりも南北線の方が遠かったみたいだ。 データをしっかり取っておけばよかったが、散歩はあまりきっちりやってもそれ通り進むだけで面白みがないのでよしとする。永田町→赤坂見附は起伏にとんだいいコースだった。 私は意気揚々と次の散歩ロード、東京駅に向かった。 とうきょう |
【東京駅・横須賀線→京葉線】 ここは横須賀線のホームである。わざわざ地下深くまで降りてきた。 ここから遠いといえば… 間違いなく京葉線であろう。 みなさんもディズニーランドに行くときにこの乗り換えを体験したかもしれない。 とにかく遠い。『なんだ京葉線』と思った方もいるかもしれない。 しかし散歩者にとっては実にいい距離だ。 男は階段 京葉線はあちら すさまじい人の多さ さすが交通の要所、東京駅である。 いろいろな方面からいろいろな人が集まっている。たくさんの会話が飛び交っている。大ターミナル駅特有のこのような『混じり』には強烈なパワーがある。さすが日本一の列車発着数(三千本)の東京駅だ。 しかし私は人が多いところはけっこう嫌いなので散歩コースとしては少し大きなところを選びすぎたかと反省する。 多少疲れも出てきた。 人が多いのと、『男は…』と馬鹿みたいにカッコつけてしまったからだろう。 男はエスカレーター 男はエスカレーター 地下にはエスカレーターが付きものなのだから、積極的に名物を使おうではないか。私は自分の頑固ではないところを憂い、同じくらいいいなと思った。 エスカレーターは楽である。 乗り換え地下散歩ではエスカレーターは必須であるとわかった。 しばらくすると動く歩道が見えた。 これに乗ってしまうと完全な『乗り換え』になってしまう気がしたので平坦なここは歩くことにした。 男は動く歩道らない(ほどらない) もうすぐ 着いた! 結局だらだら歩いていたので20分ほどかかった。 何でこんなに遠いんだっけ。成田新幹線計画だっけ。と帰って調べたところ、やはり元々成田新幹線用に作られたものだったが、途中で計画がなくなり、その設備を京葉線ホームとして使用したからだった。地上の道路事情などもあり近くにできなかったようだ。 構造を詳しく見たらばスタートした横須賀線のホームは地下5階にあり、京葉線ホームは地下4階にあった。お互い離れているとはいえ、あんなに歩いたのに地下をたった1階分上がっただけという計算だ。猫だましにあったような気分になった。 どこをどう通って行ったのかもうわからない。 この迷宮感が東京駅のたまらぬ魅力でもある。 外は雨です 外が雨だと地下散歩は余計にいい。 最後はまた丸の内線に戻り、淡路町へと向かう。 |
【淡路町→小川町・新御茶ノ水】 淡路町へ 最後はまた丸の内線に戻り、淡路町へと向かう。 ここは都営新宿線・小川町駅と、千代田線の新御茶ノ水駅に接続している。 両方とも名前が違うのでたいそう遠かった気がする。 とおもいきや。 都営新宿線5m 激チカであった。たった5m。お隣さんみたいなものだ。 これはまったくの勘違いである。どこかの駅と混同したようだ。 それか夢で見たのかもしれない。しかし 千代田線へは325m 325mあれば十分な地下散歩ができる。 ひたすら散歩 これはなんだろう 新御茶ノ水駅に到着 ここはわりと平坦でこざっぱりとしたコースだった。 でも『上にはなにがあるんだろう』、『まだ雨は降ってるかな』などとぼんやり考えながら地下を歩くのは悪くなかった。 そしてこの新御茶ノ水には東京メトロで一番長いエスカレーターがある。 最後にこのエスカレーターを楽しんで散歩を締めよう。 長い! なんだか『エスカレーターをめぐる旅』みたいになってしまったが、存分に地下の散歩を楽しんだ。何だかんだで合計で二キロ以上は歩いただろう。 ただの乗り換えも、散歩にしてしまえばどこかに余裕が生まれる。 また普段見てないところに目が行くのがなんだかよかった。 ただ三本がいいところです。 それ以上やるときっと地上が恋しくてたまらなくなります。 |
Copyright 2010 So-net Entertainment Corporation