『THE急太郎ローカル線リポート』という番組をやらせていただいています。 先日もそのロケで北信越エリアを旅してきました。放送は３月２２日（日）〜なのでＣＳテレ朝チャンネルが見られる方はぜひご覧ください。ゆらりゆらりと旅しております。

ロケの際に立ち寄った、新潟県にある筒石という駅は強烈だった。 何度か本で読んで「行きたいなぁ」とは思っていたけれど、実際に行ってみるとすごかった。やはり読むと行くとでは大違いだ。 北陸本線・筒石駅 地図で見ると一見わかりづらいが、筒石駅は全長１１，３５３ｍにも及ぶ『頸城（くびき）トンネル』の中にある。昔は地上に駅があったものの、北陸本線の電化及び複線化に伴い昭和４４年にトンネル駅となった。 トンネル、入りました 私はロケの最中、ずっと大洋ホエールズの帽子をかぶっている。急太郎というキャラクターはかれこれ５年以上やっているので、これを被ると一瞬で変身できる。特技といえば特技かもしれない。 ゴーという大きな音を立てて、列車はトンネルを進んでいく。 車窓は当然真っ暗だ。 トンネルに入り数分、徐々にスピードが落ちアナウンスが掛かる。 「まもなく筒石、筒石です」。 着いた。 降りたのは私だけ 行ってしまった 列車が行ってしまうとかなりの孤独感がある。 明るいものから取り残されてしまったような孤独感だ。 普段地下鉄などを利用しているのだからトンネルには慣れっこなはずなのに、どうもここは勝手が違う。トンネル丸出しなのだ。長い長いトンネルの中の一駅だと知っているので、事前情報が余計に孤独感をあおる。 扉を見つけた 待合室を発見 待合室に入るとヒューという風の音がする。 さっき行ってしまった列車の音だろう。１００００ｍ以上あるトンネルだから、まだ抜けるには時間がかかる。だんだんとヒューという音がヒィーと小さくなっていくのがわかる。 チョロチョロと水の音もする。 地下水の音だろうか。 風の音と水の音。 すごい待合室だ。 待合室の右に階段 壁には「列車が通過するときはホームの壁側に寄ってください」という注意書きと時刻表が張ってある。特急通過時などは風圧が強いので、待合室にいた方が安全だ。また筒石駅は何かあったときのために警備の方もいるので安心である。 待合室を右に折れると階段があった。 階段 登ると長い長い通路が 初期のドラクエのダンジョンのようだ。 はたまた秘密基地に潜り込んだ感じさえする。 長い通路を歩くと右手に『出口』の看板が見えた。 いささか外の空気を吸いたい。 出口 パッと上を見上げると またまた階段が 階段の先には光が見える。 よし、出口だ。 登ろう。 筒石駅の階段は上りホームから２８０段、下りホームからは２９０段ある。トンネル駅と言えば群馬県にある『土合』という駅も有名だ。段数で言えば土合駅の方が多い。筒石に来ると、今度は土合駅にも行ってみたくなる。 ふぅ 日ごろの運動不足がたたり、徐々に息切れしてきた。 こんなんじゃ駄目だと思う。 なにが土合駅にも行ってみたいだ。 ジムにでも通って鍛えてから来いと言いたい。 あ、地上だ！ たったの２９０段とはいえ、ちょっとした達成感がある。 地上だ 駅舎だ！ 駅の外には家がちらほらあるだけだ。 あらためてすごい駅だと思う。 空気が心なしか美味しい。 周りを見ると山もある。 ロケも無事終了したので、駅員さんと話す。とても親切な駅員さんで嬉しくなる。ここは入場券を買うと証明書がもらえるということで買ってみた。スタンプもあったので証明書の背面に力いっぱい押した。 入坑・入場証明書 地下トンネルの駅・筒石 宿は直江津だったので、また北陸本線に乗って戻る。 トンネルに再入坑だ。でももう構造がわかったので安心だった。ホームに降りた時の孤独感はもうない。 安心くん 直江津方面へ 帰るための扉 ふたたび待合室で列車を待っていると、扉が比喩的に見えてきた。この扉の向こうに帰るべき場所があるのだ。といっても今夜の宿の直江津は私の家ではない。仮の帰る場所へと行く。扉を見ていると、仮をぐるぐると回るのが旅なんだと思った。 列車が来ます 赤いランプがついた。 仮のお家に帰ろう。 さよなら、筒石 列車の屋根を見つめる。 トンネルのゴーという音を聞きながらしばらく感傷にひたる。外を見てもひたすら暗い。この先に見える光は誰のことを待っているのだろう…。 にしてもずいぶんと丸っこい屋根だ。 …ん あ！これ４１９系だ！ 寝台特急を改造して普通車にした車両じゃないか！ わーい！ まさか食パン電車に乗れるとは！なんだか屋根が丸くて車内の構造も普通と違うと思ったんですよねー。もともとここでみんなが寝ていたと思うと本当に贅沢で 不思議な車両だなぁ。これ中間改造車だから食パンみたいな顔してるんだよねー。いやはやラッキー！ここ許可取ってましたよね！カメラを回してください！ 私は急太郎になり、まくしたてた。 わーい！

伝説のトンネル駅、筒石。 噂以上のすごいところだった。 行くときは食パン電車４１９系との「北陸セット」をおすすめします。

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