ダーリンハニー吉川「鉄道は私のものではない」

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この夏、奥さんの甥っ子を一泊二日で預かることになった。「奥さんの甥っ子」とは、奥さんの妹の息子さんである。名前はユウ君。5才。最近幼稚園のお泊まり保育で富士山に一泊し、ずいぶんと男らしくなった。夏休みで元気も有り余っている。「ならばウチに泊まりにおいで」と吉川家に泊まることになった。

ユウ君は私のことを「ダーニン」と呼ぶ。たぶん「ダーリンハニー」からきているのだと思う。ダーニンはユウ君と何度も遊んだことがある。ふざけた遊びをしていつも喜んでくれるのだが、家に泊まるとなると話は別だ。ここは一発、ダーニンのスゴ腕でとことん楽しませてあげようじゃないか。

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一日目は神宮で野球を見ました

ユウ君は生まれて初めての野球観戦。私はベイスターズのファンなので初観戦が『ヤクルトVS横浜』という渋いカードになってしまったけれど、ユウ君は応援バットを叩き大はしゃぎ。ユウ君の応援の甲斐あってか、ベイスターズは内川選手の決勝ホームランで勝った。

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勝った~!

家に帰り二人でお風呂に入った。そしてベッドに入りユウ君はすぐに寝てしまった。はしゃぎ疲れたのだろう。「今日のパワーは使い果たした」という感じだ。その寝姿は天使のように可愛かった。

でも明日はもっと楽しい所に連れて行ってあげるからね!

ウヒヒ。



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翌朝。ユウ君は7時にはすでに起きていた。子供の朝は早い。夜型人間のダーニンは吐きそうなくらい眠かった。しかし今日もユウ君を思いっきり楽しませてあげなくちゃならない。

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元気一杯!ユウ君、5才

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無駄に対抗!ダーニン、31才

「今日はどこに行くの?」
「いいところに連れてってあげる」
「映画館?」
「ちがーう」
「プール?」
「ちがーう」
「どこ?」
「ひとまず品川に行くぞ~!」

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今日はどこに行くの?

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まずは電車に乗ろう!

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それも先頭に乗ろう!

「ユウ君、電車に乗ったら先頭が楽しいよ!」
「うん」
「ほら運転士さんのブレーキのタイミングは絶妙だよ」
「うん」
「音を楽しみたかったらモハがおすすめ」
「う、うん」

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運転士さんはすごいねぇ

ちょっと引き気味のユウ君だったけれど、山手線には興味があるようで、「山手線の終点はどこ?」なんていう難しい質問もしてくる。正直答えに窮する。「あのね、山手線はグルグル回ってるの。でもね、おやすみするのは大崎という駅。だから、あえて言うなら大崎…かなぁ」。あ待てよ、池袋、品川止まりもあるな。正式には品川―田端間が山手線だった気がするな。

ぶつぶつ言っている間に山手線は品川に到着。

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品川に着いたぞ!

ユウ君は先ほどの疑問は忘れてくれたようで、今度は赤い電車に興味を示した。

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あれは、京急800形ね!

電車を見て「あれは何?」「どこに行くの?」と質問されるのがうれしい。「地球はなぜ丸いの?」と聞かれても答えられないけれど、電車のことなら少しはわかる。答えられると大人の責務を少し果たしたような気になる。

品川の駅を降りた。

ユウ君、今日行くところはここだよ!

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大鉄道博!

この夏品川で開催されている『大鉄道博』。私はこれにずっと行きたかった。しかし『大鉄道博』はどちらかというとファミリー向けのイベントである。そこでユウ君の顔が浮かんだ。ちびっ子は電車がけっこう好きである。ここでユウ君を鉄道ファンにしてしまえば、これからもいろいろな所に連れて行ってあげられる。ファミリー向けのイベントにも行ける。そしてダーニンの株も急上昇。まさに一石二鳥だ。

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大鉄道博にいくぞー!

会場はグランドプリンスホテル新高輪。
大宴会場『飛天』を鉄道一色に染めた一大イベントだ。

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大きいね~

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いきなりプラレールがお出迎え

『大鉄道博』は子供向けのイベントかと思いきや、ファン向けの物品販売も充実していた。私はプラレールは卒業しているので、どちらかというと本物に興味がある。いきなり足が止まった。

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路線図だ

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瀬戸のヘッドマークだ(30万円)

貴重な品がゴロゴロ。他にも模型の展示、歴史のコーナー、達人のコレクションなど大人も充分に楽しめる内容だ。一応ユウ君に説明しながら歩くも、ほとんど私が楽しんでしまった。

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あれは湘南色ね

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北斗星だよ

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達人のコーナーもいいよね

いかんいかん。没頭してしまった。ユウ君も「?」モードになっている。あ、あそこにミニSLが走っているぞ。乗ろう乗ろう。乗り鉄への一歩はミニSLからだ。

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出発進行

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宴会場を走るミニSL

ユウ君はミニSLにもう一度乗りたいと言った。

よし、ここまで来たらダーニンの私利私欲は捨て、ユウ君が食いついたものだけ徹底的にサポートしよう。ユウ君はまだ5才の子供なのだ。遊ばせながら、鉄道に興味を持ってもらうのが一番だ。

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子供はやっぱりプラレール

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3Dメガネ

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顔出し写真

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つばめのデッキ

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最後は実物のブルートレイン

ユウ君は大満足の様子だった。

「ダーニン!大鉄道博8月31日までだからまた来ようね」
「よーしよし。今度はさいたまの鉄道博物館にも連れて行ってあげるよ!」

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『大鉄道博』を出て、興奮冷めやらぬまま喫茶店に入った。

ちびっ子鉄っちゃん化計画、まずは成功。
ダーニンの押しつけがましさも垣間見えたが、ユウ君の笑い顔が嬉しかった。

「ねぇねぇユウ君。ユウ君がいま一番好きなのって、なに?」
「むし~」
「えー!?む、虫?」
「むしの図鑑を見るのが好きなの」
「虫!?虫かぁ」
「うん、むし!!」

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次は昆虫館…かな


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