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バナナが売り切れで

2005,05,29,Sunday

朝起きたら、腹痛。原因不明なり。全宇宙が。ぼくの。お腹に向けて収縮する。かのごとくであった。再度寝る。起きたら、回復。池袋へ。リブロで何気なく手に取った本が二冊続けて「ピエブックス」という出版社のものだった。北欧デザインものと、ベトナムもの。そしてぐるっと一通りフロア中のデザイン関連、写真関連、美術関連の、おしゃれで、かっこいい、いかした雑誌群を立ち読みし、上のフロアに上がり、仏教もの、哲学もの、文芸批評もの、といった、およそおしゃれとは無縁な、しかし、いかした複数の本を閲覧した後、今一度先ほどのフロアへと下り、あらためていちばん最初の棚に行って、なんとなく一冊の本を手に取ったところ、それがまたしても「ピエブックス」であった。愕然とする。なんということであろうか。なにかの陰謀だろうか。オニツカタイガーものの本。互いにその内容としては無関係であるといってよいかと思うが、なにか共通のテイスト。とでもいったものを無意識のうちに読み取っていたのかしら。わたくし。不思議なこともあるものだ。リブロでは『プロとして恥ずかしくないwebデザインの大原則』。これを買うプロはきっと恥ずかしかろうと思うよ。よく考えたら。ジュンク堂で星野智幸『アルカロイド・ラヴァーズ』(サイン本)。初出掲載時に読んでいたので、単行本を買うのは控えていたが、著者本人のサイトで、サイン本を書き置いてきた旨を知り購入に至ったのであった。都会って、いいね。スターバックスは通り過ぎ、ベローチェで読書。美容院へ行ったグリコを待つ。合流後、「つばめグリル」にて食事。二日間で、これ、二回目の食事なのであり、多少の贅沢は許されるところですよね。ね?と神さまに断りを入れつつ。食べる。旨い。店員。かわいい。電車で。帰宅。の前にスーパーマーケットにて牛乳。ジャワティ。ヨーグルト。今日はバナナが売り切れであった。荷物が。重い。なんだかんだで、10冊もの本を持ち歩いていたのだった。

diary 2005,05,29,Sunday
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同じ太陽を

2005,05,23,Monday

遠くから電話がかかってくる。

2週間ほど、ひとりでぶらりとヨーロッパを旅行していたNくんからの電話。スペインからだ。へえ。スペインかあ。とぼくは思う。こないだはたしかローマで野宿したっていってたっけ。ローマから掲示板に書きこみがあったのだ。あれからスペインに行ったんだ。とぼくは漠然と思う。イタリアとスペインの位置関係がぜんぜんわからないのだ。そして携帯電話のディスプレイに表示された「通知不可能」の文字や、まるでぼくが「もしもし」といったことによって電話が切れてしまっているみたいなタイミングで何度出てもすぐに切れてしまうこと、それでも繰り返しかかってくることの理由が一挙に判明した。なるほど。スペインか。

ぼくはそのときスーパーマーケットで牛乳とバナナを買って外に出たところだった。ジャワティは売り切れで、がっかりだった。一瞬、店が取扱をやめたのかと思って、ぼくは焦った。焦ったのは実にひさしぶりのことだった。またしても。マイドリンクを。失う。のか?と思って、一瞬、世界を呪いたくなったけれど、よく見るとまだ棚には値札が残っていたので、きっと売り切れてるだけだろう、という真っ当な結論に落ち着いたのだった。焦りすぎだ。この早とちりめ。でも正直ジャワティがそんなに売れてるなんて驚きだった。まさか売り切れるなんてことはないだろうと高を括っていたのだ。

電話はたしかにぷつぷつと回線が途切れるようで、なおかつ声は不鮮明。それは電波の悪さではなく、物理的な遠さを思わせた。でもスペインからどうやったらぼくのこの携帯電話に電話をかけられるのか、ぼくにはさっぱりわからない。というか、どうやったらスペインに行けるんだろうな。スペインってどこだっけ?イベリア半島だっけ?イベリア半島ってどこだっけ?とぼくは思う。そして耳を澄ませる。

「これから帰るところなんだけど、いま、そっちはもう日は暮れちゃった?」とNくんはいう。そういわれて、ぼくは咄嗟に答えることができなくて困った。「日が暮れる」ということばの意味が急にわからなくなったのだ。日が暮れるってなんだっけ。とぼくは頭の中で考える。空を見上げて。なんだかバカみたいだけれど。日が暮れる。それは太陽が沈んで夜になることだ。別になにか他のことを意味する慣用句ではない。えーと。いまはまだ夜じゃない。でも昼でもないよな。これ、なんていうんだっけ……夕方か。夕方は、日が暮れている、の範囲内なのだろうか?

夕方。

でもそのことばが電話の向こうのスペインに通じることばなのかどうか、どうしても確信が持てなくなってしまって、ぼくは口ごもる。果たして夕方というものは日が暮れているのか、暮れていないのか。あるいは暮れかけている、かな。えーと。

「えーと。日は暮れてないよ。まだちょっと明るい。けど……もう少しで日が暮れるところ、かな」とぼくは答える。「でもどうして?」
「太陽は出てる?」
「出てない。こっちは曇ってるの。でもどうして?」

Nくんは、スペインと東京で、同じ時間に太陽を見たかったみたいだった。同じ太陽を。それぞれの地点から。それで電話をかけてきてくれたのだ。でも日本は、というか東京はあいにくの曇り空で、ぼくのいるところからは太陽を見ることができなかった。残念ながら。東京が曇っていることが、なんだかぼくの責任みたいに思えてきて、せっかくスペインから電話をかけてきてくれたのに曇っててごめん、という気分にぼくはなる。もしぼくが女の子で、Nくんの恋人だったりなんかしたら。こんなにがっかりすることもまたとないだろうとぼくは思う。

その時、スペインは何時だったのだろう。調べればすぐにわかると思うけど、調べようとは思わない。ただ、きっとスペインはよく晴れていたんだろうな。とぼくは勝手に想像する。気持ちのいい朝だったのだろう、と。それともお昼かな。時差はどれくらいなのかな。

そしてスペインという国はその太陽のことと共にこれからは記憶されるに違いない。ぼくの中で。そこからは、あのときぼくからは見えなかった太陽を見ることができ、そこはここからはとても遠い場所で、でも太陽はどこからでも見ることができるんだなあ。という素朴な事実に対する感慨とともに。

ぼくは電話を切ってから、雲の向こう側のどこに太陽があるのかを探した。その向こうに、確実に太陽は存在しているはずだった。でもどこにあるのか見当もつかなかった。そしてぼくは環七を渡った。きっとぼくは一生スペインに行くことはできないだろう。

だからぼくの想像するスペインには、Nくんと電話と太陽しか存在しない。

trip 2005,05,23,Monday
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靴とTシャツと素足

2005,05,18,Wednesday

今日は池袋に行きました。電車に乗って。ひさしぶりに電車に乗ったので緊張しましたよ。本を忘れたので、どこを見ていいかわからないのです。わからないってこたあないですが、向かい側の座席には高校生の女の子がふたり座っていましたから、その向こう側の窓の景色を眺めることがためらわれました。なに、あの人。こっちをじろじろ見て。いやらしい。と思われたくないのですか。と自問自答したところ、べつに思われてもいいです。けど、やっぱり、なんだか、見ることがためらわれるのは確かです。という結論に落ち着いたので、しかたなくじっと手を見たりしました。石川啄木のように。というのは嘘で、この世界にはひざのきれいな女の子とひざのきれいじゃない女の子がいるけど、ひざのきれいな女の子もひざのきれいじゃない女の子もそれぞれ魅力的だなあ。などと意味もなく考えたりしていたということは女子高生の脚を見てたってことじゃないか!

そしてTシャツを買いました。Tシャーツです。町田康風にいえば。2枚買いましたよ。それから靴を買いました。オニツカタイガーがもうほんとぼろぼろで、ソールがすり切れて雨が降ると靴の役目を果たさなくなったのです。これは指摘されると恥ずかしいのであらかじめいっておきますが、アディダスの「dragon」というのを買いましたよ。わざとです。最近、復刻されたモデルみたいです。なんだかちょっと照れくさいですか。と自問自答したところ、ちょっと恥ずかしいが、ちょっといい感じでもある。半々だな。ということでした。まあなによりもまずデザインが気に入ったのです。いま気づきましたが、タイガー&ドラゴンということになってしまいました。どうでもいいですか。

そしていまそれを履いてこの文章を書いています。素足に。新しい靴を買うと、まず部屋の中で履いて、ちょっと過ごしたい。という気分にならないですか。ぼくはなります。というわけで靴とTシャツと素足でした。またねー。うん。またねー。

diary 2005,05,18,Wednesday
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そしていま39時間ぶりに

2005,05,14,Saturday

たしかこのまえ食事したのが昨日の朝の5時で、セブンイレブンの「さくらえびおろしそば」かなんかだった。それは24時間ぶりの食事だった。だからその前に食べたのはおとといの朝5時で、そのときはセブンイレブンの「やまかけそば」を食べたのだった。長時間何も食べないでいると、いきなり重たいものは食べられないので、そばの連鎖になってしまったというわけだ。水曜日の夜に食べたラーメンが、もはや一年くらい前のことに感じられる。こわい。

そしていま39時間ぶりに、食べた。

こんなにおいしいセブンイレブンの「ひやしたぬき」を食べたのは生まれてはじめてのことだった。

food 2005,05,14,Saturday
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