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ネコけんか

2004,04,30,Friday

午前中、庭の方から変な鳴き声がしたので、グリといっしょに窓から外をうかがう。が、はじめはなにも見えず、どこかで犬が鳴いたのだと思っていたが、グリが窓辺から離れないので、よくよく見てみると、白黒の猫が窓の真下、家の壁の近くで眠っていたのだった。ときどき寝ながらも猫じゃないみたいな声を上げるので、グリは震えていて、でも、これはどうしてかはわからないが、まるで監視するかのようにグリは窓のそばを離れようとはしない。やがて白黒の猫は起きあがり、出窓の裏のエアコンの室外機の上に移動し、それに合わせてグリも移動し、それを見るためにぼくも移動した。グリはとても興奮していて、その猫に対してしきりにおしっこに砂をかけるときのような動作を繰り返す。向こうは威嚇するみたいに身体を伸ばして窓ガラスに顔を近づけてきた。それに合わせてものすごい声でグリが鳴く。今までに聞いたことないほど大きな声だ。ガラス越しなんだから大丈夫じゃんかと思うが、グリは相当びびっているみたいで身体が震えている。でも逃げようとはしない。その姿がなんとなくおかしい。別に無視すりゃいいのにね。窓ガラス越しに睨み合いが続くが、向こうは堂々としていて、威厳さえ感じられる。「なにおまえ。部屋の中で飼われてんの?」といってるみたいな感じ。ぼくがガラスをたたいても、ぜんぜん逃げようとはしなかった。すると今度はブロスは(そのへんで「ブロス」と名付けた)は隣の部屋の方の室外機に移動し、それに合わせてグリも移動。ぼくも移動。ここでも睨み合いが続く。ブロスがものすごいふてぶてしい顔でグリを睨みつけるので、ちょっとグリが可哀想になり、ドンと大きく窓をたたくと、室外機から飛び降りて今度は庭の土の上に寝ころんだ。それでもなんとなくこっちを睨みつけているようで、その対象はグリだけにとどまらず、ぼくの方にも向けられているように感じられるのだった。「おまえら、そんな箱の中でなにやってんの?」。そのへんで、もうぼくはブロスにそれほど興味がなくなって、ネコけんかを見るのはやめてしまった。気がつくとグリは床の上に、一仕事終えたといった感じに寝そべって、いかにも自分が悪い猫からこの家を救ったのだ、といわんばかりだった。

2004, 04, 30, Friday

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