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いつかシベリア。

2004,07,23,Friday

今日こそはすごく遠くまで行けるんじゃないか。朝、目覚めると、毎日のようにそう思います。今日こそは。たとえばシベリア。とかに。だって今日はすごくいい天気だし、予定だってなにもない。いまから家を出ればシベリア。とまではいわないけど、どこか相当遠いところまで行けるんじゃないか。いやいや案外あっけなくシベリア。とかまでたどり着いたりしちゃうんじゃないの。そう思うのです。するともういても立ってもいられません。よし。とりあえず、家を出よう。シベリア。に行くにしろ行かないにしろ、とにかく家を出ないことにはなにもはじまらない。はじまらねえ。と不自然なほど真っ当なことをいまさらのように、やや白痴的に、それでもまったく真剣に矢沢永吉のように思い、ぼくは「ルークス・カイウォーカー」を持って家を出るのです。ちなみに「ルークス・カイウォーカー」というのはぼくのパソコンの名前です。よし。シベリア。の前にここはひとつ腹ごしらえだ。すげえお腹空いた。そうだろ?「ルークス・カイウォーカー」?――という風にして、ぼくはまっすぐいつものようにモスバーガーへと吸いこまれていきます。シベリア。と思わず注文してしまいそうになるのを必死でこらえつつ、ホットスポットなのにすごく寒い席に腰を下ろし、「ルークス・カイウォーカー」をまずインターネットに接続します。シベリア。にはどうやって行くのかな。すると店員さんがやって来て、「お待たせしました。シベリア。ではなく、フレッシュバーガーオニポテセットです。ごゆっくりどうぞ」というので、ぼくはシベリアからいったん目をそらし、「ルークス・カイウォーカー」をぱたんと閉じます。他人のまぶたを閉ざすようにして。ぱたん。そしていちばん最後まで大切にとっておいたオニオンリングを床に落としたり、コガネムシを太股に発見したり、テーブルの上にダンゴムシを発見したりしているうちに、忘れてしまいます。シベリア。のことを。こんなぼくですがいつかシベリア。に行くことができるのでしょうか?

2004, 07, 23, Friday

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