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タクシーの夢

2013,06,21,Friday

中学時代の友だちと高校時代の友だちが部屋に泊まりに来ている。

夜になり、部屋全体に布団を敷いてみんなでねむるという段になったとき、中学時代の友だちとちょっとした口論になる。同居人もかれに肩入れしたりして(かれらはともに経営者の立場である)、ぼくはとても頭にきたので、部屋を飛び出してタクシーに乗る。どこか遠くへ行ってしまおうとおもって。

ぼくが乗り込んだタクシーにはすでに4人の客(男2、女2)が乗っていた。ぼくが行き先を告げないままで走り続けているので、ぎゅうぎゅう詰めの車内で隣り合った若い男の子に「どこまで行くんですか?」と思い切って訊いてみる。「伊勢です」と彼はいう。なら、どこか途中で降ろしてもらわなくちゃ、とぼくはおもう。料金の計算はどうしたらいいのかな、と心配になる。

「どうして伊勢に行くんですか?」
「地元の友だちの家の庭の、ハーブを摘みに行くんです」

かれらにはどうしてもそのハーブが必要なのだそうだ(理由も聞いたのだけれど、ぼくにはまったく理解できなかった)。みんなで行ったほうがタクシー代が安いので、4人で伊勢に行くことにしたのだという。

「伊勢までって、いくらくらいかかるんですか?」
「3万円くらいらしいです」

それくらいの金額で東京から伊勢までタクシーで行けるんだな、と意外におもうが、もしかしたら一人頭の料金なのかもしれないな、ともおもう。

途中、スーパーマーケットで買いものをするというので、タクシーを降りる。運転手さんもいっしょに買いものに付き合っているので、なんだかみんなのお父さんみたいにみえる。

買いものをしながら女の子のうちのひとりがこれから訪れる伊勢の友だちと電話していて、「かわりますか?」と小声で聞いてくるので、彼女から携帯電話を受け取って、電話の向こうの彼とすこし話をする。「すごく育てるのがむずかしいハーブなんですよ」と彼はうれしそうに言っていた。何年もかかって、ようやく収穫できるまでになったのだそうだ。ぼくには彼が家の黒電話で電話していることがわかる。

買いものを終えたところで、じゃあぼくはこのへんで降りますので伊勢までがんばってください、と切り出す。なんとなく4人が2組のカップルだとわかったので、じぶんは邪魔なのではないかとかんがえて、なるべく早めに降りたほうがよさそうだとおもったからだ。ぼくが財布からお金を出そうとすると、4人組も運転手さんも「いいから、いいから」といってお金を受け取ろうとしなかった。

タクシーに乗り込むみんなを見送り、手を振ってみんなと別れるが、ぼくにはそこがどこなのかまったくわからない。海沿いの道をあるきながら携帯電話を確認すると何度も着信があった。ぼくは絶対に帰らないと決めているので無視するが、男ふたりの部屋に女の子をひとり残してきてしまってだいじょうぶかな、と心配になってくる。

2013, 06, 21, Friday

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